私個人の話です。
中川さんをその頃から知っていたのか。
私個人は、まだ学生でした。
都内に通学していたけれど、東京メトロ(営団地下鉄)を使っていなかったため、事件に巻き込まれないで済みました。
その後のオウム事件関係の報道は毎日テレビで面白がって見ていました。
しかも、「オウム事件完全濃縮マニュアル」なるものを座右において
他人事として、とにかく面白がって見ていました。
逮捕された信者のホーリーネームと、学歴を確認しながら
「何であんなおかしな教祖に付き従ってしまったんだろう」と思っており、
自分には全く関係ないという見方をしていました。
だから、「彰晃マーチ」も笑いながら口真似していました。
教祖が逮捕され、逮捕された信者が供述していくようになりつつあったある日
このような新聞記事をたまたま目にしました。
オウム・中川被告が極刑覚悟と供述 母校全部に名前の削除申し入れ
地下鉄サリン、松本サリン、坂本弁護士一家殺害など一連のオウム真理教幹部による凶悪事件のほとんどに加わったとみられる元教団「法皇内庁」トップ中川智正被告(32)が、「極刑も覚悟している」などと、警視庁など捜査当局の調べに供述していることが19日、わかった。
教団に脱会届を出し、医師資格も返上した中川被告は、幼稚園から大学までの母校すべてに対し、卒業生名簿から自分の名前を削除するよう申し入れている。
10月24日から始まる後半の結果、「極刑も覚悟している」と死刑を含めた重い刑罰を言い渡されることも自分に言い聞かせているという。
逮捕後、長かった髪を刈り上げた中川被告は、教団に脱会届を出した。また8月22日には自ら申請した医師資格抹消が認められている。
また、中川被告は自分の在籍したすべての学校に、卒業生名簿から自分の名前を削るよう求めている。地元岡山市内の幼稚園、小、中学校、県立高校と京都府立医大に対し、両親を通じて「事件で迷惑をかけたので卒業生名簿から名前を削除してほしい」との手紙を送った。
幼稚園と大学からは「検討する」という返答が寄せられている。
「入学、卒業歴、成績などの学籍自体は消しようがないが、私個人の意見としては、医師として問題外の行為であり、同窓会名簿から名前を抜くことになると思う。ただ一存では決められないので、いま大学理事会で審議してもらっている」と話している。
私はこの記事を読んで、「随分極端なことする人だな」と思いました。
また、私はこの人のことを「法皇官房」のこの人のことだと思い込んでしまいました。
全く別人であったのでした。
私が中川さんのホーリーネームを知ったのは、死刑執行後のことでした。
中川さんがなぜこの時に脱会届を出したのか?
なぜ自分の名前を卒業生名簿から削除することを依頼したのか?
全く考えることもありませんでした。
その後、私自身はオウム報道の熱狂がひいていくのと同時期に、挫折し続けていました。限界状況を迎えていたのでした。
オウム真理教関連裁判に関する記事もあまり真剣に読まなくなり
いつしか忘れていたのでした。
そんなある日
オウム死刑囚が獄中からVX論文を発表というニュースを、
で読みました。
オウム真理教の死刑囚は獄中までも勉強を続け、広島拘置所で論文をものにするなんて凄すぎる!と思いました。
私など、すっかり社会の底辺で辛うじて働いているうちに勉強することさえもしなくなっているのに・・・。
研究成果が役に立つだろうから、この人は死刑執行されないで、ずっと研究させていれば役にたつんじゃないか?と思っていました。
その一月後にまさか執行されてしまうとは・・・。
そして、「中川智正」という人物を死刑執行後、生前には何も接点もない私が
支援者でもなんでもない私が、ここまで追うことになろうとは・・・。