元の記事はこちら
「現代化学」8月号。
予想以上に、Amazonなどでは入手が難しいらしいです。
増刷されているのか?
私が金曜日頃みたら、7月25日以降とか出ていたけど・・・。
それはやはり、#中川智正 効果でしょう。
化学専門の人たちだけではなく、私のような化学知識が全くと言ってない人間も
今回だけは買う、という人が多いのではないでしょうか。
しかしこの雑誌は、かつて #土谷正実 さんがサリンつくるヒントとなった雑誌でもあるぐらい
化学専門の方にとってはステータスのある雑誌なのかとも思います。
今回のエントリーでは、中川智正論文の内容ではなく、
この「現代化学」8月号の中で私なりに興味を持ったことを
書いてみたいと思います。
それは、「新刊書案内広告」です。
「研究者としていきるとはどういうことか」
書物の目次に目が行ってしまいました。
「新しいアイディアと情熱・執念・努力」
「プレゼンテーションは就職活動」
「命をすり減らす感染と事故」
「君は行くのか、そんなにまでして」
すごく現実的な書物だと思いました。
新しいアイディアと情熱・「執念」・努力という部分は特に
凄まじかったのだろうと思います。
特に、サリン製造の罪で断罪された、
遠藤誠一さん、中川智正さん、土谷正実さんの裁判が、散布役の理系大学院卒である
豊田亨さん、広瀬健一さんよりも判決が出たのが遅かったのも、かつての情熱、執念、努力の部分が、互いの好き嫌いの感情ともつれあって各々の弁護士・支援者を巻き込み
長引くこととなったのでしょう。
『サリン事件: 科学者の目でテロの真相に迫る』 2014
のAmazon書評の一つに面白いのがあったので掲載します。
「10年早く生まれていたら、オウムに入って死刑判決だったよ、よかったね」と友達に言われた方のものです。
中川智正・元死刑囚を評して「この人はつくづく科学バカなんだなあ」という部分。
その通り、「ノウハウを日本が持つに至ったのは手前らのせいだろう!」
中川智正さんが拘置所内でVXに関する論文を書いていることに、よい感情を持たない人もいたのだろうな・・・。
広瀬健一さんのように、犯罪を犯すに至った自分の内面を掘り下げて一著にするという
営みに比べ、「反省にはなってない!」と思った人も多かったと思います。
広瀬健一さんの遺著はこちら
おそらく広瀬健一さんのような姿勢を中川さんに対して、特に出家前から付き合いのあった人たちなど求めていたかもしれない・・・。
私も、一時は広瀬健一さんのような自分の内面を掘り下げることをなぜしないのだ?と思っていました。
よくよく、中川さんを調べていくと、中川さんが確定死刑囚である限り、
「死刑執行」という刑罰を受けるために精神の安定を保つことが必要で、
教団内のリンチ殺人事件や、坂本弁護士事件などのときの心情を掘り下げて一著にするというのは無理だったと思います。
死刑執行までの時間を過ごすために、化学研究は中川さんの精神生活上なくてはならなかったのだろうと思います。
話を元に戻して
研究するってことは、自分の狂気、同僚の狂気との闘いもあり、
世俗的なプレゼン能力を持って就職活動をしなければならないし
そこまでして化学の道に入れるのか?君はという強烈なメッセージを感じました。
そのきっかけを作ってくれた、Amazonで「サリン事件」の書評を書かれた方にも
幸あれかしと祈ります。
続・狂気の科学
こちらの書物にも惹かれました。
Amazonではこちらになります。
続編なんですね・・・。
ということで、最初に出された「狂気の科学」
「なぜ高学歴がオウム真理教に入信するのか」の一つの答えらしきもの?も
こういう書物に接することで理解できるきっかけになるのかとも思いました。
多分、「カルト宗教に入らないように」と学校で一律に教育するよりも、
学生が自ら図書館などでこのような本に接する機会を設ける方が、
コスト的にも安いし、教師の負担も減ると思うのですが・・・。
最後に、「現代化学」8月号に掲載された他の執筆者の方々はすごく
ラッキーだと思います。
売り込みしなくても、いつも読まれないようなタイプの読者に研究成果に興味をもってもらう
きっかけにもなるのだから。
こういう運も大切なんでしょうね。研究者として生きていくためには。