なぜ中川さんは、オウム真理教に入信・出家したのでしょうか。
の該当部分を要約すると・・・
・ほんの興味本位でオウム真理教のヨガ道場を覗いたこと
・1988年1月に音楽コンサート「龍宮の宴」で教祖からいきなり声を掛けられた。
・「お前はこの瞬間のために生まれてきたんだ」という幻聴が聞こえた。
・自宅でめい想中、光が体を突き抜け、この世では生きていけない気持ちになった。
と、書かれていることより、オウム真理教の信徒がよく語る神秘体験が原因だとされています。これだけだったのでしょうか。
確かに、高校時代から阿含宗に出入りしていたなど、新興宗教を冷やかすのが趣味だったという話もある中川さんだけど、それ以上に学生生活をエンジョイし、
文化祭が大好きで高校時代は皆が大学受験に向けて熱心になっているなかで、友達と仲良く学校に通い、深夜まで山車づくりに精をだし、まだ医大時代も、実行委員を率先して引き受けたりと、楽しいことが大好きな人でもあり、宗教の話ばかりに一直線にはまだなっていなかったのでした。
(この点は、高校時代からオウムにはまっていった井上嘉浩さんや、大学・大学院時代、教授まで勧誘するほどだった広瀬健一さんとは異なると思っています)
井上嘉浩さんに関する書籍はこちら
広瀬健一さんの著書はこちら
そのような中川さんが、なぜオウム真理教に入っていったのでしょうか。
神秘体験それだけだったのでしょうか。
ここの部分は本人もあまり語りたがっていないようですが、
私には、「医学部出たなら普通に医師になるものでしょう」という世間の声と、現実の自分は医師として仕事についていけていないことから発した身体・精神的疲労を受け止められられず、オウム真理教が怪しい宗教であることを知りつつも、そこ以外自分には行き場がないと絶望から出家したのではないでしょうか。
中川さんの入信・出家部分とオウム真理教の動きについて年表にしてみました。
医大5年目の大学祭で実行委員長を任されたりしていた頃に教祖の著書を購入してはいるけど、特に読まず放置していたようですが、
中川さん自身がオウム真理教の道場に自分から近づき、入信に至るのは、
医師国家試験と卒業を控えたころです。
医学部は他の学部とは異なり、医師国家試験と卒業というハードルが非常に高く、勉強をし続けていないといくらでも挫折してしまうものだそうです。
そこでストレスをごまかして、何とか医師国家試験に合格をし、研修医となれたものの
その時点で中川さんは自分の身体・精神的疲労の原因を自分で受け止められず、限界状況を迎えてしまったのではないでしょうか。
それだけ医師になるということは精神力・体力・学力が必要である過酷な世界だったのでしょう・・・。その過酷な世界での事実上挫折を受け止められなかった・・・。
それにしても手術室で倒れて精神科にかかるぐらいに弱っているはずなのに、
その数か月後に殺人事件実行犯になってしまうとは・・・。
マインド・コントロール以前に恐ろしく感じました。
なお、中川さんは研修医という医者であり、現世においては関西医療業界でしか生きられないということはもっと知ってほしいと思います。
関西医療業界は、医者を酷使して、医者がどんどん心身を壊してしまう業界です。
そのようなブラック業界から「足を洗う」など、当時の中川さんには不可能だったと思います。
大阪鉄道病院で精一杯助けを求め、先輩や上司にも相談して、内密に精神科を受診もしています。
そこで状況を話そうとしても、中川さん自身の当時の勤務先でもある病院で弱い事を言えるでしょうか。
企業勤務者がうつ病になって、会社の産業医に相談するように言われるようなものです。
「休みなさい」と言われて休むだろうけど、ではどう復職するのか。
このあたりでどれだけたくさんの企業勤務者が躓いて、ある人は社会復帰も出来ない状態に陥っているか。
ましてや中川さんは勤務先が「産業医」でもあったのです。
それだけでパニックに陥ってしまうのは当然だろうと思います。
オウムに出家する当時の中川さんの状況だけでも、もっと共有されてほしいと思っています。
併せて、中川さんの後輩、@SecretaSecreto 氏のご活動に敬意を表し、そのTweetを掲げます。関西の医療業界がどれだけブラック業界であるかを、中川さんを通して知ってもらえるなら、それも一つのきっかけになると思います。
中川智正さん!関西の医療業界、とりわけ研修医の酷使について、地獄より見守ってくださいますよう!
その通りです。
— Secreto Secreta (@SecretaSecreto) August 29, 2020
ですので、研修医の過重労働に強力な、民間のメス、を入れる事、これが俺の生涯のテーマになったんです。
ネットの時代になりました、過重労働の病院を直接さらし上げる事が出来るのです。
「嫌なら辞めろ委員会」の始まりです。
その成果物の一つです。https://t.co/Efs5wfq0uE